フードデリバリーは長野の飲食店に利益をもたらすかも知れない

信州フードデリバリーです。私たちは長野県内において、大手フードデリバリーサービス各社の代理店として、日々多くの飲食店の皆様のサポートを行っています。名前の通り、長野県を活動エリアとし、上田市に拠点を構えています。偉そうな書きぶりですが、少しでも参考になることがあれば、幸いです。
カフェ、居酒屋、レストランといった飲食店様から、地元で愛されるベーカリー様、伝統ある和菓子店様にいたるまで、本当に多様な経営者の方々と日お話をさせていただいています。
その中で、私たちが肌で感じているのは、「現場の経営環境は、想像以上に限界に厳しい」という長野の飲食店を取り巻く、経済状況に関する危機感です。
長野県は人手不足の傾向が顕著
長野県は求職者に対して1.25倍の求人がある状態で、全国平均に比べても求人が多い状態にあります。特に東信地域はその傾向が顕著ですが、長野県全体でも季節変動による人手不足は深刻です。
アルバイトの募集を出しても全く応募が来ない、あるいは時給をどれだけ上げても人が集まらないという状況が続いています。人手が足りないために、せっかくの繁忙期にお店の座席を間引いて営業したり、営業時間を短くしたり、定休日を増やしたりせざるを得ないという、もどかしい状況が県内各地で起きています。
容赦のない「経費の高騰」
これは長野県だけには限りませんが、原材料費の値上げに加え、電気・ガス代といった光熱費の高騰、さらには最低賃金の引き上げに伴う人件費の上昇が、飲食店の利益を徹底的に圧迫しています。売上はコロナ前と同水準に戻りつつあっても、残る利益が大幅に減っているという店舗が後を絶ちません。
飲食店の経営者の皆様の身を削りながら、経営している姿を度々拝見し、何とかしたいと常に考えています。
本記事では、長野県の経済情勢のリアルな裏側を紐解きながら、フードデリバリー(出前の配達代行)がもたらすメリットだけでなく、長野県特有の「非常に高いハードル(デメリット)」についても包み隠さずお伝えします。その上で、インバウンド需要を取り込むためのな仕組みや、「デリバリー・テイクアウト限定営業日」という新しい攻めの手法、さらには県内主要8エリアの地域特性を徹底的に解説していきます。
第1章:統計データと「現場の体感」の乖離――なぜ今、飲食店には新しい一手が必要なのか
長野県の景気動向調査を見ると「一部で持ち直しの動きが見られる」といった前向きな言葉が使われることがあります。え、本当かな?というのが、長野県民である我々も感じる実感で、我々も日々お話しする飲食店や小売店にとっては依然として大変厳しい景気状況にあると思います。
■ 「攻めたいけれど、お金がない」というジレンマ
このような厳しい状況を打破するためには、新しい客層を開拓したり、販売チャネルを増やしたりする「攻めの経営」にシフトしていくことが考えられます。新たな取り組みを考えるにしても、攻める時には多くの費用が掛かります。instagramでの広告、 独自のテイクアウト用WEBサイトの構築やチラシのポスティング、専用設備の購入などには数十万円のコストがかかります。利益が削られている今、労力とお金を投資するのはリスクが高いように思います。
■ 「シェア争い」という強力な追い風を利用する
なぜ今フードデリバリーなのか。その最大の理由は、長野県でも大手フードデリバリーサービスの展開が拡大しているからです。主要なプラットフォーム同士が、長野県という広大な市場において各社熾烈なシェア争いを繰り広げており、非常に導入しやすいキャンペーンが展開されています。信州フードデリバリーの活動原資も、飲食店がフードデリバリーを始めていただくことにより得られる代理店手数料です。
このシェア争いは、飲食店にとってこれ以上ない追い風となります。各社は「とにかく魅力的な店舗に加盟してほしい」と考えているため、フードデリバリーサービス(出前の配達代行)の導入は費用負担がなく導入ができる点は、長野県の飲食店等にとってもメリットがあると考えます。
つまり、通常なら多額の費用がかかるはずの「新しい販売チャネルの構築」が、飲食店の費用負担が全くない状態(リスクゼロ)でスタートできるのです。手間暇は、信州フードデリバリーが可能な限り引き取ります。
第2章:長野県が持つ最大の武器「8,514万人の観光需要」と「インバウンド」の取り込み
長野県内で飲食店等を経営する上で、絶対に無視できないのが「観光客」の存在です。 長野県の令和6年(2024年)の年間観光客数は延べ8,514万人と、県人口の約43倍もの人が訪れています。前年比でも伸びており、観光この旺盛な需要を地域の飲食店が取り組むためにも、フードデリバリーサービスは有効ではないかと考えます。

■ 店内のキャパシティ(座席と人員)という限界
繁忙期、土日祝日など、一時的にお客様が集中する際に、「満席でお客様を何組もお断りしてしまった」「ホールスタッフが足りないため、すべての座席を開放できず、回転率が落ちた」といった機会損失が発生しています。 お店の物理的な座席数と、今いるスタッフの労働力には限界があります。しかし、フードデリバリーサービスを活用すれば、「店舗の座席数」という概念そのものから解放されることになります。観光客の方が宿泊するホテルや貸別荘などに滞在中の観光客の「部屋食」需要を、ホールスタッフの手を煩わせることなく厨房の稼働だけで回収できるのです。
■ インバウンド(訪日外国人)の壁を破壊する「多言語対応」と「事前決済」

インバウンドの長野県への延来訪者数は、634万人(令和6年)であり、前年対比で634万人と前年対比で27.6%の増加です。インバウンド(訪日外国人観光客)の取り込みにおいて、フードデリバリーアプリは最強のツールとなります。
飲食店が外国人観光客を受け入れる際、現場の最大のネックとなるのが「言葉の壁」と「決済の壁」です。人手が足りない中で、不慣れな外国語で接客し、慣れない外貨やクレジットカードに対応するのは現場にとって大きなストレスと時間のロスになります。
しかし、大手フードデリバリー各社のアプリには、ユーザーのスマートフォンの設定言語に合わせて、メニューが自動的に多言語(英語、中国語、韓国語など)に翻訳される機能が備わっています。 さらに、注文が確定した時点でアプリ上でクレジットカード等による「事前決済」が完了しているため、店頭での面倒なお金のやり取りが一切発生しません。
つまり、お店側は外国語のメニュー表を作る必要も、片言の英語で接客して現金を数える必要もなく、ただ「注文が入った料理を作って配達の方に渡すだけ」で、インバウンド需要を取り込むことができるのです。これは長野県の飲食店にとって、大きなメリットと言えます。

第3章:都会と同じようにはいかない!長野県における導入のハードル
ここまでデリバリーのメリットや可能性をお伝えしてきましたが、ここからは最も重要な「長野県特有の厳しい現実(デメリット)」について詳しくお話しします。地方都市や観光地ならではの事情から、首都圏と同じようにはいかない課題があります。
1. 配達員(配達パートナー)の確保が最難関
これが長野県でデリバリーサービスを定着させる上での最大の壁です。 長野県内の観光地は、季節によっては稼働している配達員が圧倒的に不足しています。新たにデリバリーサービスのエリアとなった観光地(軽井沢町等)では、観光シーズンには他のアルバイト(ホテルや農作業など)も高時給で募集をかけるため、地域全体で深刻な人材の奪い合いになります。 どんなに飲食店がデリバリーに加盟しても、「運んでくれる人がいなくて注文がキャンセルになる」という事態が頻発すれば、サービスとして成立しなくなってしまいます。

2. 高い手数料による利益率の圧迫
デリバリープラットフォームの利用には、固定費はかからないものの、売上に対して手数料がかかります。
ただでさえ食材費や光熱費が高騰している中で、この高い手数料を店舗側だけで吸収することは不可能です。そのため、デリバリー価格を設定するのが一般的です。
インバウンド、観光客、地元ユーザーは利便性に対して対価は払ってくれます。デリバリープラットフォームは、店舗との価格差を一定割合に抑える方針であるため、サービス利用料の全てを転嫁できません。
あるプラットフォームでは、サービス料に転嫁できない15%は飲食店の負担になります。ここをいかに抑制するかは我々のような代理店の腕の見せ所です。
第4章:先を見据えてまず一歩―「新しい攻め方」と「専業日」の提案
長野県において、フードデリバリーサービスの活用は、理にかなったアプローチであることは間違いありません。
長野県の飲食店経営者の皆様には次のアプローチもお勧めしています。
「テイクアウト」利用の増加も目指す
配達員不足の問題をクリアする最も確実な方法は、お客様自身に取りに来てもらうことです。フードデリバリーサービスでは、テイクアウトの注文を受け付けることもできます。
大きなプラットフォームで、テイクアウトでの注文を増やすという選択肢は、サービス手数料の面でもメリットがあります。
「デリバリー・テイクアウト限定の営業日」を設ける
そして、人手不足を逆手にとった究極の「攻め」として、『デリバリーやテイクアウトだけの営業日を設ける』という選択肢を強くご提案します。 「今日はホールスタッフが確保できないから、お店を休みにしよう」と臨時休業にするのではなく、「本日は店内飲食はお休みし、デリバリーとテイクアウトのみの営業となります」と切り替えるのです。 これにより、接客スタッフはゼロで構いません。厨房スタッフ(あるいは店主一人)だけで、多言語対応・事前決済のアプリ経由で入ってくる注文をさばき、売上を立てることが可能になります。経費を極限まで抑えながら利益を確保する、これからの地方飲食店における新しいスタンダードな営業形態です。
デリバリーは強力な武器になりますが、長野県の地理的条件においては、配送だけに頼るのではなく、こうした「テイクアウト」や「専業日の設定」といった省力化ツールと巧みに組み合わせて活用していくことが、今後も人手不足は解消しませんので、その中でどのように経営していくかを考えた時に、フードデリバリーサービスをうまく経営に取り込むのは最も現実的で効果的な解決策となります。

元来、出前というのはあった訳ですが、外(長野県外)から持ち込まれたこのフードデリバリーという仕組みを活用して、長野県の利益につなげていけるのではないかと我々は考えていますし、期待しています。